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伝統と創造茶道と建築音楽と建築職人との協働生活と設計あるべきようは

お茶のお稽古に通ったり、古建築を見てまわったり、と、茶道や数寄屋建築を学びながらも、設計においては、それらに固執せず、現在我々がおかれている状況を冷静に捉え、未来を見据えて新しい建築を創りたい、と考えています。岡本太郎は著書「日本の伝統」で次のように述べています。昭和31年(1956)に書かれたものですが、現代の日本にも力強く響くメッセージだと感じます。「近ごろ世の中がチンマリと落ち着いてきました。新しいものにぶつかって前進してゆくというよりも、一種の無気力さから、すべてが後もどりしているのではないか、という感じです。そんな風潮に乗って、古い文化への関心が高まっているようです。だが、それはかならずしも、よろこぶことじゃない。逆コースという、なにも生み出さない不毛なラインを下降しているからです。こういう時期にこそ、正しい伝統への心構え、考え方をはっきりとさせておかなければならない。(中略)何気なく読み過ごしてしまう歴史のページの中に、新しい角度から発見し、生き返らせる価値がギッシリと埋もれ、窒息している。それらを全体的に展望し、組み直し、新鮮な体系の中に生かしてゆくべきです。」本文では「伝統というと、とかく過去のものとして懐かしみ味わう事で終わってしまいがちだが、それはむしろ対決すべき己の敵であり、また己自身でもある、そういう激しい精神で捉えかえすべきだ」と述べ、また同時に、伝統をパティキュラーに絞り込むのではなく広く世界の伝統をも同様に捉えるべきだ、とも説いています。数寄屋や町家に限らず古代建築からモダニズム建築、現代の建築まで、古今東西の先人達の素晴らしい仕事を出来るだけ数多く体験し詳細に観察し、それらを「歴史」として捉えるのでなく、現代における設計活動の血肉となるように捉えていきたいとと思います。根が無ければ花は咲きません。日本の伝統に軸足を置きながら、広く世界に眼を向け、真に新しい建築を作っていきたいと考えています。

岩崎建築研究室