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伝統と創造茶道と建築音楽と建築職人との協働生活と設計あるべきようは

茶道に関わる建築と言えばお茶室。茶室建築は世界でも類を見ない「侘び」という日本特有の美意識を体現したものとして世界に誇る事の出来る建築文化のひとつだと思いますが、現代における茶室建築と言えば、銘木主義でべらぼうにお金の掛かるものであったり、茶の湯のルールを守らなければならない堅苦しいもののように捉えられているかもしれません。設計者はそのルールを学ばなければ茶室の設計はできないとも言えますが、設計者にとってお茶を学ぶということは、単にそうしたルールを知るということ以上に、もっと重要な多くのことを学ぶ場であるように感じています。例えばお点前のお稽古を通じて学ぶ物の配置や位置決定にみられる繊細な寸法感覚や特有の論理などは、建築設計に直接繋がることのひとつ。例えば、花月の札を、四畳半なら畳の目ひとつ、八帖なら畳の目ふたつに置く、という決まりは、些細なことと言えばそれまでですが、こうした繊細かつ論理的な寸法感覚こそ日本の建築設計者は身につけなければならないと感じます。また貴人点や唐物、台子の点前などを通じて学ぶ格の違いに対する差別化とそのディテールなどは建築全体の構成を考える上でヒントになるかも知れません。またさまざまな茶道具に見られる独特なフォルムなどは現代人の眼で見ても新鮮なものが多くありますし、土・木・竹・紙・鉄など豊富な素材感を数多く見ることは、建築の仕上げやテクスチュアを決める上でとても有益であると考えます。また掛け軸で接する多くの禅語は設計者としてだけでなく、人として生きて行く上で心の拠り所となる言葉が数多くあるように感じます。こうしてお茶を通じて学ぶ多くことを建築設計に活かしてはじめて、日本の美意識という伝統を受け継いだ建築というものが出来るのではないかと考えます。

岩崎建築研究室